実母に妊娠報告しないまま出産した話|言わない選択をした理由
「産後、頼れるご家族はいますか?」
妊娠をして最初に母子手帳をもらった時の保健師や産院の助産師に聞かれること。この言葉にいつも傷つく。
私の親は毒親だ。結婚してから連絡を取らなくなって数年が経つ。
別に連絡をブロックしているわけではなかったし、連絡を取ろうと思えば取れる。が、会うといつもメンタルがしんどい思いをして数日寝込む羽目になるので意識的に連絡を取らないようにしていた。
そんな中での妊娠だった。そして、実母に妊娠報告をしないまま、私は出産した。
実母に妊娠報告をしないと決めた理由
私は妊活中から「妊娠したとしても親には報告しない」と決めていた。
なぜなら私も子どもも辛い思いをするとわかりきっていたからだ。
妊娠が分かったとき、実母に報告している自分を何度か想像した。
「妊娠したよ」
そう伝えた私に、母がうすら笑いながら「あんたが親になれるの? あんたはダメな子なのに」と言う姿が、妙に鮮明に浮かんだ。
実際に言われたわけではない。それでも、その場面を想像するだけで胸が重くなった。
妊娠したことを喜んでほしいだけなのに、また自分を否定される気がした。
そのとき気づいた。私は妊娠を報告すること自体が怖いのではなく、母にもう一度「お前はダメだ」と言われることを恐れていたのだ。
実母からいつも幾度となく言われていた。
「あんたはいつも手がかかって」
「あんたは本当にだらしがなくてダメな子で」
「あんたのせいでこんなに苦労してる」
こんな親に私の妊娠と子どもの誕生を祝福してもらえるだろうか。きっとされない。
それどころか、生まれた子どもを見せたら「可愛くないわね」と言われるだろう。
「可愛くない」と言われた私の子どもはどんなに傷つくだろう。
私で毒親からの毒は断ち切ろうとしていたのに、親に合わせたら毒がまた連鎖してしまう。
だから私は妊活中から、妊娠しても実母には報告しないと決めていた。自分だけでなく、生まれてくる子どもまで母の言葉に巻き込みたくなかった。
妊娠報告しないことへの罪悪感と葛藤
報告しないと決めてはいるものの、それでも私の中に葛藤はあった。
「実母 妊娠報告 しない」でずっと検索していたし、同じ人の困っている体験談をずっと読んでいた。
報告しなかった人は結果どうなったのか?逆恨みされない?害はない?どうやって産後乗り越えた?など初めてのことで不安が尽きなかった。夜な夜なGoogleの検索窓に打ち込んでいた。
妊娠した記事を見るたびに「両親にサプライズ報告!」とか「とっても喜んでくれました〜!一緒に赤ちゃん用品を見に行きました(笑)」ばかり。
私はこういうふうに一緒に喜んでくれる親はいないのだな、普通じゃないんだ、と突きつけられて本当に苦しかった。
苦しかっただけでなく、罪悪感もずっとあった。
親に妊娠報告しないって親不孝者だよね?親をがっかりさせて傷つけてしまうよね?など罪悪感に駆られていた。
それでも、やっぱり妊娠報告した時の親の顔を思い浮かべたら自分が傷つくことが容易に想像できたので報告はしなかった。
夫や義両親、友人の周りの人には「報告しない」と言っていた。
幸いなことに事情を理解してくれる人たちだったので、「報告したほうがいいよ!」という余計なお世話を言ってくる人はいなかった。
事情を知らない人ほど、報告したほうがいいと言ってくる。それでまた傷つくしメンタルがしんどくなってしまうので何も言われないことにホッとしていた。
親に頼らない産後をどう乗り切ったか
親には報告しないまま出産を迎えた。
出産自体は夫が立ち会ってくれ、仕事が忙しい中欠かさず面会も来てくれた。夫には本当に感謝してもしきれない。
入院中、ナースステーションで両親と旦那さんと幸せそうに赤ちゃんを抱いて里帰りしていく人たちを見て羨ましくてたまらなかった。
親がまともだったら、毒親じゃなかったら、私も子どもも里帰りして穏やかに産後過ごせていたのかな、と自分の家庭環境を自分ではどうしようもできないのに自責していた。
出産してからは夫が育休をとってくれていたので、本当に助かった。
思った以上に出産後は体が言うことをきかない。妊娠中に想像していたよりずっと、自分一人ではどうにもならなかった。
なんというか、全身の骨が軋む感じでとにかく痛かった。そんな中慣れない育児や寝れない状態だったので人がいてくれて助かった。
私は最初から親に頼らないと決めていたので、産後はとにかくあらゆる制度を使い倒そう、と決めていた。
私の自治体では母子手帳をもらった時に自治体の子育て支援の一覧パンフレットをもらえるのだが、それをとにかく読み込んだ。
産後私が使った制度は以下。
- 産後ケア
- ファミリーサポート
産後ケア
産院が提供している産後ケアを利用したがとても良かった。
赤ちゃんを助産師さんに預けてベッドに横になった瞬間、ようやく肩から力が抜けた感覚があったのを覚えている。
助産師さんが赤ちゃんを見てくれていると言う安心感、母乳育児で困っていたら相談に乗ってくれる、美味しいご飯が出てくる、など精神的にも体力的にもかなり回復できた。
もし自治体で産後ケア事業があり親に頼れないという人がいたらぜひ使ってほしい。
私が利用した産後ケアは人気だったらしく、出産してすぐに自治体に連絡をして予約を取らなければならなかった。
産後すぐで体がしんどいが、入院中に赤ちゃんの面倒を見てもらっているうちに予約を取るのがおすすめ。
産院によっては哺乳瓶や赤ちゃんの身の回りのグッズも持っていかないといけない場合があるらしいが、私は手ぶらでいけたので予約時によく確認したほうが良いだろう。
調べると利用率3割とあまり使われていないらしい。自治体によってだが基本的に産後ケアは補助が出るので安い金額で日帰りや宿泊ができる。
こんなに良い制度なのにもったいない。税金払っているので制度は使い倒そう。
友人にも使ったほうが良いとおススメして回っているのだが、「赤ちゃんって基本的に家族で面倒見るものって思っているから罪悪感がある」とか「手続きがハードルが高い」と言っていた。
私個人としての考えだが、赤ちゃんはいろんな人と関わることによって愛着形成されていくと考えている。
なんなら助産師さんはプロなので、妊産婦さんは罪悪感を感じず頼れるものは頼って体を休めるように制度を使ってほしいと思っている。
ファミリーサポート
地域で子育て支援をしたいサポーターとサポートを受けたい人をマッチングしてくれるもの。
私の自治体は登録に時間がかかったり直接出向かないといけなかったので、産休中に登録は済ませておいた。
登録時に何か事情を聞かれるかと思っていたが、特に詮索もされず登録が終わった。
ファミリーサポートは産後に数回利用した。私がたまたまかもしれないが、保育資格を持ってくれている人がいてこれまた安心して子どもの面倒を見てもらった。
面倒見てもらっている間に別室で眠ったりして体を休められるのは助かった。主に夫が仕事でいない時に活用していた。
ただ、私の場合家に来てくれるパターンのファミリーサポートで「家に他の人を入れるのはちょっと…」と言う人は抵抗あるかもしれない。
お住まいの自治体で利用方法を確認してみてほしい。
親に頼らない産後で、実際に困ったこと
夫が育休をあけて仕事に行くことになり、体調が悪い日の日中のワンオペ育児がとにかくキツかった。
生後半年など子供が少し成長して首もしっかり座ったり寝返りが打てるようになってからこども園の一時保育をこの頃からよく利用するようになった。
産後は1年ほどは体調をちょこちょこ崩す日が多く、「今日は無理かも…」という日によく利用をさせてもらっていた。
自分が体調悪い中無理をして育児をして事故を起こしてしまうよりも保育士というプロの力を借りて無事に1日を過ごすことを優先させる、という気持ちで預けていた。
産後は自身が体調悪い中で動けない場合も想像して、その場合はどうするか?の手段を持っておくのが良いかもしれない。
報告しないまま出産して親はどう反応したのか
出産して少し経った時、たまたまきょうだいから電話があった。
電話は他愛も無い話だったが、きょうだいにも出産を知らせていたかったのでついでに報告をした。
きょうだいは驚いていたし、早速実母にも報告したと言っていた。(すぐに実母に報告されるのできょうだいにも言わなかった理由がここにもある)
実母は直接報告されなかったことにショックを受けていたようで、何か文句の一つでもあるかと思ったが、連絡が一つもなくそのまま月日が過ぎていった。
拍子抜けした、というのが正直なところだ。あれだけ恐れていた時間は何だったのだろう。妊娠がわかってから出産までの十ヶ月、報告するかしないかで悩み、報告しない罪悪感に苦しみ、報告した後に何を言われるかを想像して怯えていた。その全部が、私の頭の中だけで起きていたことだった。
私は過剰に恐れていたが、なんのことはなかったのだ。
後から自分の気持ちに気づいたのだが、私の中で妊娠出産を報告しなかったのはちょっとした親への仕返しだったのかもしれないな。と気づいた。
親が一番欲しがるものを渡さない。娘の人生の大きな出来事から締め出す。孫の存在を知らせない。それは、私が長年されてきたことの意趣返しとして、あまりにもよくできた形だった。
「親は私をこんなに傷つけた。だから報告しないことによって親も私の苦しみにちょっとでも気づいてほしい。」と。
言葉にしてしまえば、ずいぶん子どもっぽい考えだ。気づいてほしい、わかってほしいと願っている時点で、私はまだ親に何かを期待している。守るための距離だと思っていたものの中に、まだ手放せていない期待が混ざっていた。
この気持ちは、今も完全には消えていない。
完全に消えるにはもう少し時間がかかるだろう。
妊娠・出産報告を迷っている人へ
私の場合は、だけれども妊娠出産報告をしなくても問題はなかった。
親のヘルプなしで産後って大丈夫なの?など妊娠中は色々未来について不安になるが、いないならいないでなんとかなる。行政のサポートは意外にしっかりしている。
これはSNSで見ていた投稿なのだが、例え里帰りしても、親からひどい事を言われて苦しくなってしまった、と言う人も見かけた。
あなたがもし傷つくことを想像できてしまうのなら、報告をしないと言う選択肢もある。
何よりもご自身と赤ちゃんのための良い選択肢を選んでほしい。子どもは、親が健やかでいることが一番願っていることだと私は思っている。
報告してもしなくても、どうかその選択肢をとった自分の勇気を褒め称えて受け入れてあげてほしい。それが毒親からの解毒や親離れの一歩に繋がると私は願っている。
私は今、母親のしがらみから解放されるために信田さよ子さんの「母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き」や「アダルト・チルドレン」を読んでいる。
「母が重くてたまらない」は私のように母娘関係で悩んでいる人にとてもおすすめの本なので、ぜひ読んでほしい一冊だ。
こちらの本は、以下の記事で感想も書いたので今現在「母との関係で悩んでいて苦しさがある」という悩みを持つ方や本の概要を知りたい方によかったら読んでいただきたい。

私も現在親との関係に悩み苦しんでいるが、ここから解放されて自分らしく生きるために試行錯誤中だ。
今度はカウンセリングを受ける予定だが、カウンセリングを受けた後どんな心境になったかなどをまた綴っていきたいと思う。